【例文付】入社承諾書の辞退に正当な理由はいる?トラブル回避の伝え方
入社承諾書提出後の辞退に、法的な正当な理由は不要です。
しかし、トラブルを避けるには誠意ある対応が欠かせません。
本記事では、円満に辞退する伝え方、そのまま使える電話・メール例文を解説します。
入社承諾書の辞退でトラブルを避けるためのマナー

前章で解説した通り、法的には辞退に際して「特別な正当な理由」は必要ありません。
しかし、法律上問題がないからといって、一方的かつ不誠実な対応をしてよいわけではありません。
辞退の意思が固まったらすぐに連絡する
入社辞退において最も重要なのは「スピード」です。
「怒られるのが怖い」「気まずい」といって連絡を先延ばしにすることは、企業にとって最大の迷惑となります。
以下の表は、辞退のタイミングと企業側への影響を整理したものです。
| 辞退のタイミング | 企業側の状況 | 辞退による影響度 |
|---|---|---|
| 承諾書提出直後 | 採用活動を終了し、不採用者への通知を終えた段階 | 比較的小さい(補欠合格者への連絡などが間に合う可能性がある) |
| 入社1ヶ月前 | 配属先の決定、PCや制服などの備品手配、研修スケジュールの調整中 | 中程度(手配のキャンセルや再調整の手間が発生する) |
| 入社直前(1~2週間前) | 社会保険の手続き準備、入社式や研修の準備が完了している | 甚大(実質的な金銭的損害や、現場の人員計画に穴が空く) |

特に入社直前の辞退は、企業によっては法的な措置を検討したくなるほどの損害を与える可能性があります。
他社への入社を決めた場合はその日のうちに連絡を入れるのが最低限のマナーです。
メールやLINEだけで済ませず電話で直接伝える
近年はチャットツールやメールでのコミュニケーションが主流ですが、内定辞退という重要な連絡においては、電話で直接担当者に伝えるのが基本です。
メールやLINEなどの文字情報だけで一方的に辞退を告げる行為は、「誠意がない」「非常識だ」と受け取られます。
また、企業側が「なぜ辞退するのか」を確認したい場合にもその場で対話ができるため、結果的に話が早く収束しやすくなります。
嘘の理由はバレる可能性があるため慎重に選ぶ
「他社に行くとは言いにくい」「引き留められたくない」という思いから、嘘の理由で辞退しようと考える方もいます。
法的に正当な理由は不要ですので、無理に嘘をついて取り繕う必要はありません。
「検討を重ねた結果、自身の適性を再考し、別の道に進む決意をいたしました」といった、角が立たない表現を用いることが大切です。
穏便に済ませるための辞退理由の伝え方とポイント

入社承諾書を提出した後に辞退を申し出る際、法的に特別な「正当な理由」は必要ありません。
しかし、採用担当者に納得してもらい、無用なトラブルや引き留めを回避するためには、社会通念上受け入れられやすい理由と伝え方を選ぶことが重要です。
他社に入社することを正直に伝える場合
最も一般的かつ誠実な理由は、他社への入社が決まったことを伝えるケースです。
ただし、「御社よりも条件が良い会社が見つかった」とストレートに伝えてしまうと、相手企業のプライドを傷つけ、トラブルの原因になりかねません。
他社を選んだ理由を伝える際は、相手企業を否定するのではなく、「自分のキャリアプランとの合致」や「適性」を軸に説明するのがポイントです。
| 本音(避けるべき表現) | 建前(推奨される伝え方) |
|---|---|
| 給料や福利厚生が他社の方が良かった | 自身の生活設計や長期的なキャリア形成を考えた結果、別の企業とのご縁を感じました。 |
| 第一志望の企業から内定が出た | 自分の専攻やスキルをより活かせる職種での採用が決まり、そちらで挑戦したい気持ちが固まりました。 |
| 社風や雰囲気が合わなそうだと感じた | 自身の適性や働き方を改めて深く検討した結果、別の環境で成長を目指すべきだと判断いたしました。 |
家庭の事情や適性を理由にする場合
他社への入社を伝えたくない場合や、実際に家庭の事情で辞退せざるを得ない場合は、「一身上の都合」として伝えるのが基本です。
もし詳細を聞かれた場合には、以下のような理由が納得感を得やすい傾向にあります。
家庭の事情を理由にするケース
「親の介護が必要になった」「実家に戻らなければならなくなった」といった家庭の事情は、企業側も踏み込みにくい領域であり、強力な辞退理由となります。
ただし、事実でない場合にこれらを理由にすると、後々辻褄が合わなくなるリスクがあるため注意が必要です。
自身の適性を理由にするケース
「改めて業務内容を理解する中で、自分の能力では貢献できる自信がなくなった」「別の分野への興味が捨てきれない」といった、自身の内面や適性を理由にする方法です。
会社側に非があるわけではなく、あくまで自分自身の問題であると強調することで、相手を責めずに穏便に辞退することができます。
会社への感謝と謝罪の気持ちを強調する
どのような理由を伝えるにせよ、最も重要なのは「誠意ある態度」です。
企業はあなたを採用するために、多くの時間とコストを費やしています。

入社承諾書という約束を破棄することに対して、心からの謝罪を述べると同時に、内定をくれたことへの感謝を必ず伝えましょう。
「御社には大変魅力を感じており、光栄に思っておりました」「大変悩みましたが」というクッション言葉を挟むことで、担当者の心証は大きく変わります。
事務的に辞退を告げるのではなく、相手の立場に配慮したコミュニケーションを心がけることが、円満な辞退への近道です。
【状況別】入社承諾書辞退の電話とメール例文

入社承諾書を提出した後の辞退は、企業側にとって採用計画の変更や手続きのやり直しといった負担が生じるものです。
法的な正当な理由が必須ではないとはいえ、社会人としてのマナーを守り、誠意を持って伝えることがトラブル回避の鍵となります。

ここでは、電話で伝える際のトークスクリプトと、状況に応じたメールの文面を具体的な例文として紹介します。
他社への入社を決めた場合の電話例文
他社への入社が理由であっても、正直に伝えて問題ありません。
ただし、辞退する企業を比較して下げるような発言は控え、「自身のキャリアプランとの適合性」や「適性」を理由に挙げると角が立ちにくくなります。
| 話者 | 会話の内容例 |
|---|---|
| 自分 | お世話になっております。内定をいただきました〇〇(氏名)です。採用担当の△△様はいらっしゃいますでしょうか。 |
| 担当者 | はい、△△です。 |
| 自分 | この度は内定をいただき、また入社承諾書の件でもご対応いただきありがとうございました。大変申し上げにくいのですが、検討を重ねました結果、別の企業様とのご縁を感じ、そちらに入社することを決意いたしました。そのため、誠に勝手ながら今回の内定を辞退させていただきたくご連絡いたしました。 |
| 担当者 | そうですか、残念ですが承知いたしました。差し支えなければどちらの企業か伺えますか? |
| 自分 | はい、〇〇業界の企業様です。御社には大変魅力を感じておりましたが、自身の長期的なキャリアプランを考えた末の決断です。多大なるご迷惑をおかけし、大変申し訳ございません。 |
一身上の都合で辞退する場合の電話例文
家庭の事情や体調不良、あるいは他社への入社を具体的に伝えたくない場合は、「一身上の都合」という言葉を用いて辞退の意思を伝えます。
詳細を深く追求された場合でも、感謝と謝罪の気持ちを前面に出すことが重要です。
| 話者 | 会話の内容例 |
|---|---|
| 自分 | お世話になっております。内定者の〇〇です。採用担当の△△様にお繋ぎいただけますでしょうか。 |
| 担当者 | お電話代わりました、△△です。 |
| 自分 | 先日は入社承諾書の件でありがとうございました。本日はご相談がありお電話いたしました。入社に向けて準備を進めておりましたが、一身上の都合により、どうしても入社することが難しくなりました。大変心苦しいのですが、内定を辞退させていただきたく存じます。 |
| 担当者 | 理由をお聞かせいただけますか? |
| 自分 | 家庭の事情に関わることですので詳細は控えさせていただきたいのですが、現状では勤務を継続することが困難と判断いたしました。期待して採用していただいたにも関わらず、このような結果となり深くお詫び申し上げます。 |
担当者が不在だった場合のメール例文
電話をかけても担当者が不在の場合や、営業時間外で連絡がつかない場合は、まずメールで第一報を入れることがマナーです。
| 項目 | 記載内容 |
|---|---|
| 件名 | 内定辞退のご連絡(氏名) |
| 本文 | 株式会社〇〇 人事部 採用担当 △△様 お世話になっております。内定をいただきました〇〇(氏名)です。 先ほどお電話を差し上げましたが、ご不在とのことでしたので、メールにて失礼いたします。 この度、一身上の都合により、誠に勝手ながら内定を辞退させていただきたくご連絡いたしました。 本来であれば直接お電話にてお詫び申し上げるべきところ、メールでのご連絡となり大変申し訳ございません。 後ほど、改めてお電話させていただきます。 取り急ぎ、ご連絡とお詫びを申し上げます。 ————————————————– 氏名:〇〇 〇〇 電話:090-xxxx-xxxx メール:xxxx@example.com ————————————————– |
電話での連絡後に送るお詫びメール例文
電話での対応に対する感謝と、改めて迷惑をかけたことへの謝罪を文字に残すことが重要です。
| 項目 | 記載内容 |
|---|---|
| 件名 | 内定辞退のお詫び(氏名) |
| 本文 | 株式会社〇〇 人事部 採用担当 △△様 お世話になっております。先ほどお電話いたしました〇〇(氏名)です。 お忙しい中、お電話にてご対応いただき誠にありがとうございました。 先ほどお伝えいたしました通り、検討を重ねました結果、内定を辞退させていただきたく存じます。 採用に関わってくださった皆様には多大なるご迷惑をおかけしますことを、改めて深くお詫び申し上げます。 本来であれば直接お伺いして謝罪すべきところではございますが、メールにて恐縮ながら、重ねてお詫び申し上げます。 末筆ながら、貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます。 ————————————————– 氏名:〇〇 〇〇 電話:090-xxxx-xxxx メール:xxxx@example.com ————————————————– |
まとめ
入社承諾書提出後の辞退に、法的な正当な理由は不要です。
民法上、辞退は可能ですが、トラブル回避には早急な電話連絡と誠意ある謝罪が不可欠です。
感謝の気持ちを忘れず、マナーを守って円満に辞退しましょう。
