室長〜!内定承諾書にサインしたらもう辞退できないんですか!?
内定先から「承諾後の辞退は認めません!」って言われてしまって...
安心して!
前提として内定承諾後でも内定辞退することは違法じゃないよ!法律を理解し、冷静に対処すればトラブルに発展することはないんだ。
この記事の対象となる人
- すでに内定承諾書にサインをしてしまったが辞退を検討している
- 内定辞退を申し出たが引き止めにあっている
- 内定承諾書にサインをしていいか迷っている
結論|モラルに欠けた辞退でなければ内定承諾後でも辞退できる!
この記事の目次
結論から言えば、内定承諾後でも内定辞退することは可能です。しかし、トラブルを引き起こす可能性は0ではありません。
この記事では内定辞退への不安を完全に解消するために以下の3つのステップで内定承諾後の辞退方法を解説していきます。
- 内定承諾書の役割
- 内定承諾後の辞退が法的にOKな理由と根拠
- トラブル0で内定辞退をする具体的な手順
そもそも内定承諾書の役割って何?
内定が決まると、企業から「内定通知書」が送られてきますよね。
それは企業→内定者(あなた)に対して
「雇用することを約束する書類」です。
内定承諾書とは、その逆で
内定者(あなた)→内定先の企業に対して
「就職することを誓約する書類」です。
つまり、内定承諾書の提出=その企業に対して入社することを誓約する意思表明ということになり、この時点で内定者と企業の間には「雇用契約」が結ばれたことになります。
雇用契約が発生しているということは、やっぱり辞退は無理なんじゃ...
「契約」と聞けば確かにそう思ってしまっても仕方ないよね
でも大丈夫!雇用契約が結ばれているといっても内定承諾書はあくまで「口約束」、法的な拘束力はないんだ。
内定承諾書に法的拘束力がない理由
日本の憲法第22条第1項には「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」との規定があります。
そして、民法第627条は次のように定められています。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
Wikipedia 民法第627条 https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC627%E6%9D%A1
雇用契約が成立している時点で企業の一員であることから、「内定辞退 = 退職扱い」となるため民法627条の適用通り辞退(退職)ができる訳です。
とりあえず承諾後でも辞退はできるんですね。安心しました。
法的拘束力はないが「契約違反」にはなってしまう
少しややこしいのですが、民法627条はあくまで「内定辞退」することを良しとするものであり、交わした「契約を無効」とするものではありません。
前述した通り、内定辞退(≒退職)は問題ないのですが、辞退を申し出ることにより、「雇用契約」に対して「契約不履行」という形になってしまいます。
そのため、契約が破棄された企業側は発生した損害を内定者に対して請求するための訴訟を起こすことができます。
内定辞退により発生する損害
- 採用者への研修費用
- 求人をするための広告費用
- 雇用するために用意した備品の購入費...etc
あなたを採用するために時間もお金もかけているのですから、逆の立場になって考えると企業側の気持ちもわかりますよね。
ええ〜、てことはやっぱり訴訟は起こされちゃうってことじゃないですか(泣)
そうだね。企業側が訴訟を起こすことは「理論上可能」なんだ。
ただ、この「理論上」というのが重要で、実際に内定者が損害賠償を請求されるケースは考えづらく、可能性としては限りなく0に近いから安心して。次で詳しく解説するね。
内定承諾後に実際に損害賠償を請求される可能性は?
ここまでの説明で「内定辞退は違法ではないが辞退されたことによる損害」は請求できるということがわかりました。
では、実際にどのくらいの確率で内定承諾後に損害賠償を請求されることがあるのでしょうか?
答えは「限りなく0に近い」です。それには以下の3つの理由があります。
訴訟の可能性が0に近い3つの理由
- 損害賠償を起こす暇もコストもないから
- 企業イメージに悪影響を及ぼすから
- 訴訟を起こしても勝ち目がないから
1つずつ内容を解説していきます。
理由1)損害賠償を起こす暇もコストもないから
例え大人数の企業だとしても、訴訟を起こすためには必要な書類を用意し、弁護士を雇い、手続きを行い...と、とてつもないお金と時間を要します。
たった一人の内定辞退者に対して研修費や備品のお金を取り返すために訴訟を起こしてもむしろ金銭的にはマイナスになってしまいます。
報復の意味を込めての訴訟なんてもっての他ですね。
理由2)企業イメージに悪影響を及ぼすから
求職者は1つでも内定を勝ち取るために必死です。「複数の内定を取り、その中から希望の1社に就職する」というのが一般的な就活です。
そんな前提の中で、内定承諾後に辞退したからといって訴訟を起こした企業があるとしたらどうでしょうか?
「〇〇建設っていう会社、内定辞退すると訴訟するらしいよ...」なんて噂が広まりでもしたら企業イメージは悪くなり、今後採用活動をすることが非常に困難になってしまいます。
理由3)訴訟を起こしても勝ち目がないから
(1)と(2)の理由だけでも、企業側が訴訟を起こすリスクが0に近いことを説明するには十分ですが、実際の判例をもとに考察しても勝ち目がないという理由もあげることができます。
平成24年にアイガー事件という内定辞退を巡った訴訟が起きました。
内定をもらっていたXさんが研修期間に「あなたはきっと4⽉には辞める」「辞めろと⾔っているわけではないが、このままやる気がないような態度なら、他の内定者に悪影響だ」などの苦⾔を述べたことなどもあり、Xさんは就職留年を決断し、結果的に内定辞退をし出社を拒否しました。
企業側はXさんの内定辞退が債務不履行または不法行為にあたるとして訴えましたが、結果は以下の通りとなりました。
本件内定辞退の申入れが入社日の直前までずれ込んだことを重くみるのは、社会経験の乏しい原告にとって酷にすぎる。したがって、本件内定辞退の申入れが信義則上の義務に著しく違反する態様で行われたとまでいえない。
http://www.rodo-journal.co.jp/hanrei1030.html
この判決は「信義則違反」がどういった条件かは述べていませんが、内定者がまた就労を開始していない段階で企業側が受ける損害というものを立証することは非常に困難であるため企業側に勝ち目が低いと考えられます。
損害賠償を請求される可能性が高まるケース
前述の通り、企業側にメリットがないことから損害賠償を請求されることは考えづらいのですが、リスクが高まるケースもあります。
ケース1)入社日まで2週間を切ってしまっている
民法627条の内容を振り返ってみましょう。
雇用は解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。
つまり、損害賠償が請求される範囲は内定辞退の意思表示をしてから2週間以内に発生するものに限定されると考えることができます。
逆に考えると契約終了までの期間が入社日以降(出勤日)と被っていることで本来出勤すべき日に出勤していないという状態になってしまいます。
例えば、入社日が4月1日であり3月20日に内定辞退をしたとします。解約の2週間後は4月3日であるため、入社日を過ぎてからの雇用契約の解消となります。
内定者が働いていない段階の3月20日〜3月31日の期間に対して損害を関連づけることは困難ですが、入社したあなたに対してお願いしようとしていた仕事がなくなるなどの事態が起きた場合は企業側は被害を被ってしまうため、損害賠償を請求されるリスクは当然高くなってしまいます。
2週間を切ったら内定辞退は諦めるしかない?
2週間を切った場合は、エージェントや企業側も辞められると困るため損害賠償の請求をチラつかせてきます。そういったケースでは自身での辞退は難しくなります。
どうしても内定承諾後の内定辞退ができないという場合は「内定辞退代行サービス」への依頼をすることでトラブルを起こすことなく辞退が可能です。
リクセルなら依頼後の成功率は100%、訴訟トラブルは過去一件もありません。プロが辞退を完全代行してくれます。
どうしても自分で辞退できない場合はぜひリクセルへの無料相談を検討してみることがいいかもしれませんね!
ケース2)信義則違反に該当する辞め方をした場合
信義則とは?
信義則とは「著しくモラルに欠ける不誠実な行為はとらないようにしましょう」という倫理観に則ったもので、判決を下す上で条項に当てはまらない場合の最終判断材料となるもの
内定承諾後の辞退というケースに当てはめた場合、内定者に一方的な責任があるかが鍵となります。
例えば、
- 「何の前触れもなく無言で内定を辞退した」
- なんとなく働きたくなくなったという理由で辞退した
など、誰から見ても明らかに内定者のモラルが欠けている辞退の場合、「信義則違反」に該当し、実際に裁判を起こされた場合に負けてしまう可能性が高まります。
内定承諾後でもトラブル0で辞退をするための具体的手順
ここまでで内定承諾書の役割や内定辞退に関しての法律、そしてどういった場合に訴訟のリスクがあるか理解できました。
ここからはそれらを踏まえ、内庭承諾後でもより安全に辞退をする方法を具体的に解説していきます。
しっかり読んで就職活動に活かしていきましょう!
内定辞退の3ステップ
- 理由を事前に用意しておく
- 電話で辞退を伝える(難しい場合はメールでも可)
- 電話後、記録が残るようにメール or 書面も送る
ステップ1|理由を事前に用意しておく
内定承諾後の辞退であれば転職エージェントや企業の中には質問をしてきたり、辞めないように説得されることもあります。
そうしたケースを想定して、先ほど説明した「信義則違反」に該当しないような正当性のある理由、もしくは本人にはどうしようもできない理由をきちんと用意しておきましょう。
正当性のある理由の例
内定待ちだった第一志望の企業から内定をもらい、その企業の方が自分の力が発揮できる環境だと思った
どうしようもない理由の例
- 単位を取ることができず留年が確定してしまった
- 精神的なストレスから体調を崩してしまい就職活動ができなくなった
- 家業を継ぐことになり地元に帰ることになった
ステップ2|電話で辞退を伝える(難しい場合はメールでも可)
電話がつながったら挨拶をし、「辞退したい」という結論を先に伝えましょう。引き止めに合わないためにも曖昧な表現をせずはっきりと伝えることが大切です。
電話での辞退が難しい場合はステップ3のメールを送りましょう。
お世話になっております。○○大学○○学部の○○と申します。人事部の○○様をお願いします。
お電話代わりました。○○です。今回はどういったご用件でしたか?
○○大学○○学部の○○と申します。先日は内定をいただきありがとうございました。大変申し訳ないのですが、この度は内定の辞退をさせていただきたくご連絡致しました。内定承諾書を提出した後にも関わらず申し訳ございません。
ちなみに理由を伺ってもよろしいでしょうか?
他に内定をいただいた企業がありまして、検討した結果、自身の今後のキャリアや適正を考慮しそちらの企業へ入社することを決意したためです。
そうでしたか...非常に残念ではありますがわかりました。
このような結果にも関わらず、お忙しい中ご丁寧なご対応いただきありがとうございました。それでは失礼いたします。
これらはあくまで例文なのでそのまま使用しても問題ありませんが、とにかく
「謝罪」「辞退の意思」「内定辞退の理由」この3つがしっかりと伝わるような対応を心がければ大丈夫です。
ステップ3|電話後、記録が残るようにメールまたは書面を送る
電話のみの辞退のみでは、場合によっては後々トラブルになりかねません。
そのため、電話をした上で記録として残るようにメールもしくは書面で改めて辞退の意志を伝えておくと安心ですね。
メールの例
▼件名
内定辞退のご連絡【〇〇大学/〇〇学科/氏名】
▼本文
○○株式会社 人事部 ○○様
お世話になっております。
先日内定をいただいておりました、〇〇大学〇〇学科の〇〇です。
内定承諾書を提出した後にも関わらず大変恐縮ですが、この度、内定辞退をさせていただきたくご連絡いたしました。
辞退の理由ですが、選考を受けていた別の企業から内定をいただき、検討した結果、今後の自身のキャリアや適正を考慮しそちらの企業へ入社することを決意したためです。
本来なら、直接お詫びを申し上げるべきですが、メールでのご連絡となりますことをご了承いただけますと幸いです。
説明会から選考まで、お世話になったにも関わらず、このような結果となったこと大変申し訳ないと感じております。
貴社の採用に関わってくださった社員の皆様には心より感謝しております。ありがとうございました。
末筆ながら、貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます。
▼署名
〇〇大学/〇〇学科/
〇〇〇〇(氏名)
連絡先
難しく考えてたけど、私にもできそうな気がしてきました!
ポイントはしっかりと誠意を伝えること。ズルズルと先延ばしにするとトラブルになるから勇気を出して実行してみてね。
内定辞退を申し出た場合のトラブル例
辞退は企業側もよくあることなので、通常スムーズに終えることができますが、承諾書を提出後となると内定辞退の申し出をした際に次のようなトラブルになることがあります。
- 質問攻めされる
- 直接会いにきて謝罪しろと言われる
- 辞退するなら訴えると言われる
たしかに承諾後の辞退は企業もすんなりOKしてくれなさそう...
実際にこういったトラブルに遭遇した際の回避方法を解説していくよ!
質問攻めされる→正直に回答でOK
基本的には辞退理由をしっかりと伝えれば納得してもらえますが、担当者によっては質問攻めしてくる場合もあります。
よくあるのは「どこの企業へ行くのか教えてください」や「別の会社へ入社する決め手となった理由を教えてください」などです。
自社の今後の採用活動に活かそうと質問してくるケースが多いため問題なければ正直に回答してOKですが、回答に困るようであれば「これ以上の回答はご容赦いただけますようお願いいたします」と丁寧に断りをいれましょう。
直接来て謝罪しろと言われる→行かなくてOK、辞退の意思を伝えるのが大事
中には「直接来て謝罪をしろ」と罵声を浴びせる企業担当者もいます。その場合、企業側の狙いは引き止めか、ストレスの発散かどちらかであるため、その企業への辞退を決意しているあなたにとっては行っても何のメリットもありません。
「非常識なことは重々承知しておりますが、他社への入社の意思が固まっているためこのお電話での申し出にてご容赦ください」と強い意思を見せましょう。
ただし推薦を受けた場合は別
大学から推薦を受けていた場合は、その大学の信用を損ね後輩が就職活動をする際にその企業からの印象が悪くなってしまいます。学校によっては直接謝りにいくことを指示される場合もあるので、その場合は覚悟を決め手直接謝りにいきましょう。
辞退するなら訴えると言われた→一度電話を切り、メールで辞退の申し出の証拠を残す
電話をした際に「採用にかかった経費を請求するからな」など脅された場合は、一度電話を切り、前述した例文でメールまたは書面を送りましょう。
内定辞退(雇用契約の解消)の意思を伝えたかどうかが大切であるため、必ず記録を残せるように動くことが大切です。
どうしても辞退できないトラブルに発展したら...
企業といえど、相手も人であるため辞退をすんなりと受け入れてくれずトラブルに発展してしまうことは多々あります。
そういった内定者の「就職の自由」を守るため、「内定辞退代行」を専門とするサービスも活用されています。
今まで業種問わず、新卒・中途・アルバイトの方500名以上の内定辞退に関わってきました。
弁護士監修のもと、代行サービスを行い、ご依頼後の成功率は100%・訴訟トラブルは0件をキープしています。
こんな相談が多いです
- 「お世話になった担当者に言いづらいまま入社日が近づいてきてしまった」
- 「雇用契約を結んだ後に辞退を申し出たら損害賠償を請求すると言われてしまった」
- 「転職エージェントが辞退は認めないの一点張りで話が進まない」
全国対応しており、LINEで無料相談後、ご依頼となった場合即日辞退することも可能です。
内定辞退にお困りの方はぜひ一度LINEでの無料相談をお試しください。
まとめ|この記事のポイントを振り返ろう
お疲れ様でした。少し長い内容になってしまったので、「内定承諾後の辞退」についての理解すべきポイントを改めておさらいしましょう。
この記事のポイント
- 内定承諾書は「内定者」から「企業」へ入社することを誓約する書類だが、辞退することは自由
- 内定承諾書に法的拘束力はないが、「雇用契約」の解消となるため損害賠償を請求される可能性はある
- しかし企業側のデメリットを考えると訴訟のリスクは限りなく0に近い
- 入社日まで2週間を切っている場合は損害賠償が発生するリスクが上がる
- 辞退を申し出るときは正当な理由を用意し、電話で伝えたのち、記録を残すためにメールまたは書面で念を押す
室長ありがとうございます!
内定辞退の不安もなくなって改めて伝える勇気が湧いてきました!
トラブルに発展しそうであっても辞退の意思をはっきりと伝えることが肝心だよ。知識を持っていれば冷静に対処できるはずだからまたわからないことがあれば相談しにきてね!